頚椎の歪みと顎関節症の関係
なぜ、顎関節症から頚椎が歪むのか
地球上の生物は、すべて重力の制約を受けています。 四肢をしっかり大地につけている動物と二本足で直立歩行する人間では、人間の方が重力の制限が大きいと言えます。人間は二本足で立った時点で、頭部と腰部(仙骨)の二つの重点を持つことになりました。これは、生物学的には、とても不安定な状態なのです。
直立時の正しい姿勢では、頭部は地表に対して平行、視線は地表に対して水平方向を見ています。 頭部の支点O(第一頚椎)をはさんで、頭の重心Gと後頸筋群Fが拮抗することで、頭部と重力とのバランスを常にとろうとしています。《下記の図をご参照下さい》
頭部の支点0が図に示された位置にあり、重心Gと後頭部によって、テコの原理でバランスが保たれているのが、正常なバランスです。
噛み合わせが悪いと、この頭部の支点0の位置がズレます。支点0がずれると、首が安定しないために筋肉が緊張を起こして「首筋に違和感」や「肩こり」があらわれます。それが続くと、やがて頚椎そのものの歪みに発展して行くのです。
頚椎の歪みは全身の骨格を歪ませる
普通の人の噛む力は約60kgあります。その時、頚椎にかかる力は約4倍もの240kgです。正常な頚椎は頚椎自身のゆるやかなカーブと椎間板で240kgの力をうまく吸収発散させることができます。ところが、頚椎が歪んでいると、240kgの力を吸収発散させることができずに、ますます歪んでいくのです。
顎関節症や顎の歪み、噛み合わせ不良で、頚椎に歪みが生じると頭部の位置のバランスが崩れます。そして、頭蓋骨の歪みに対応するために骨盤(仙骨)が歪みます。その歪んだ状態にも関わらず、脳が目線をまっすぐにしようと指令を出すため、胸椎、腰椎など他の骨や関節でバランスをとるため、歪みが生じます。
このように下顎のズレ、頚椎の歪みが全身の骨格を歪ませることになります。
頚椎とは
頚椎とは、頭部を支える首の部分の骨のことです。この頚椎は7つの骨で構成されており、強力な筋肉・靭帯とともに頭部を支えています。頚椎の中で重要な役割を担っているのが「環椎(かんつい)」と「軸椎(じくつい)」です。
第一頚椎と呼ばれる環椎が頭部を支えてバランスを保ち、第二頸椎と呼ばれる軸椎が頭を前後左右に動かす時の軸となります。
この第一頚椎と第二頚椎に異常が起きると全身に波及する様々な症状が引き起こされます。
なぜなら、後頭部と体をつなげる第一、第二頸椎には、脳からの重要な神経や血管が集中しているからです。
頚椎の歪みの原因
第一頚椎は後頭骨につながっているので、頭部が傾きに影響を受けます。
ですから、下記の図のように、「噛み合わせの異常」「下顎のズレ」が起きると、頭部の重心がずれ、第一頸椎が不安定になり、歪みが生じます。
顎関節症と頚椎の歪みによる病状
頚椎がずれると、頭部を支える頸椎のカーブも崩れてしまいます。頸椎のカーブは、衝撃を吸収する役割があります。そのカーブが失われると、筋肉や神経にかかる負担が大きくなってしまいます。
こうして、首の筋肉の緊張が続くと、「首の痛み」「肩こり」「手足のしびれ」「めまい」などの症状が起きることがあります。
頚椎の歪みと顎関節症は専門医へ相談
下顎のズレ、悪いかみ合わせにより、「肩こり」「筋肉痛」「手足のしびれ」の症状が見られるようになったら、それは頚椎に歪みが出ている可能性があります。
このような病状を放置するとどうなるかは言うまでもありません。全身に骨格の歪みが生じて、様々な不定愁訴が発生して「重い顎関節症」の症状を抱え込むことになります。
顎関節症は早めに治療・改善することが大切です。新宿デンタルオフィスは顎関節症の専門クリニックです。顎関節症による骨格の歪みに対しては、全身咬合治療の観点から診断しています。
初診カウンセリングもおこなっています。どうぞお気軽にご相談下さい。