子どもが顎関節症になったときの対応方法
顎関節症の患者は20代~30代の女性に多くみられますが、実は子どもの患者も少なくない病気です。子どもの中には幼児の患者もまれにいますが、小学生から中学生と学年が上がるにつれてその割合は増加傾向になります。
子どもが顎関節症になって「痛みで苦しそうにする姿」は親にとっては心配な出来事です。子どもが初めて顎関節症になったときには、親御さんも「症状・原因」「何科の病院がいいのか」「治療法」など、分からないことが多いと思います。
ここでは子どもの顎関節症について、症状や原因も含めて解説していきます。
子どもが顎関節症になると親に訴えること
顎関節症になった子どものほとんどが、その病気・病名を知らないことでしょう。そのため、子どもが親に訴えるのは「よく分からないが顎が痛い…」「頭が痛い…」などの断片的な言い方が多くなると思います。
それらの子どもの訴えの中で以下のような内容が含まれていたら注意が必要です。
・口が開きにくい
・口を開けたときに耳の辺りで「ジャリ」や「カクッ」と音がする
・口を開けると痛い
子どもにとっても「顎の痛み」「顎周辺から変な音がする」などの症状は深刻な問題です。子どもが自身の顎の異常を感知して、このような症状を訴えた場合には顎関節症の疑いがありますので、しっかりサポートしてあげることが必要です。
子どもの顎関節症に見られる症状
顎関節症とは「咀嚼筋障害」「靭帯障害」「関節円板障害」「変形性関節症」などの慢性疾患群の総称です。「顎関節」「咀嚼筋」の異常、ストレスの増幅から、開口障害(口が開きづらい)・関節雑音(口を開けると音がする)・顎関節痛(顎が痛い・口を開けるのが痛い)といった症状が現れます。
子どもの顎関節症の症状もこれらの大人の症状とほとんど変わりません。顎関節症が進行すると顎の不調から全身に症状が波及するため様々な不調に悩まされることになります。
【顎関節症の全身症状にはこのような病状があります】
頭痛、腰痛、肩こり、めまい、耳鳴り、喉の痛み、鼻づまり、顔の歪み、全身の歪み、うつ病 他
子どもの場合は、顎関節症という病気を知らないことも多いため、顎関節の痛みを「歯や歯茎の痛み」だと勘違いするケースもあります。そのため、親が子どもを歯科医院に連れて行って歯を削るなどの間違った治療をおこなったことにより症状を悪化させることもあります。
子どもの症状に顎関節症の疑いがある場合には、まずは専門医に相談することです。
子どもの顎関節症の原因
子どもの顎関節症の原因は、基本的には大人と同じく癖や生活習慣によるものが多く見られます。代表的なものに「片側噛み」「うつ伏せ寝」「頰づえ」などがあげられます。
また、食生活の変化も見逃せません。食事の西洋化・ファーストフードの普及により、柔らかい食べ物を食べることにより咀嚼回数が減ります。そのため、昔と比べて顎骨が小さく、顎関節・筋肉が弱くなっているという指摘があります。
現代の子どもは「受験勉強」「習い事」「スポーツ」など、過度な競争によりストレスを受ける機会も増えています。このようなストレスが「歯ぎしり」「食いしばり」を誘発します。
携帯ゲームで長時間遊ぶことも「強い噛みしめ」「うつむき姿勢」など顎に負担をかけています。その為、昔に比べて子どもの姿勢が悪くなっていると言われています。
【子どもが顎関節症になる原因】
・片側噛み
・悪い姿勢
・歯ぎしり、噛みしめ
・食事の変化
・ストレス
・管楽器、木管楽器の演奏による顎への負担
・強い衝撃を受けるスポーツや左右偏って負担をかけるスポーツ
このように現代の子どもたちは顎関節症を発症する要因が数多くあると言えます。
幼児期の顎関節症の発症にも注意
乳歯は、生後6ヵ月頃から生え始め、2,3歳までには生えそろいます。顎骨も同時に成長していきますが、乳歯が生えそろうまでは、顎関節もまだしっかりした状態ではなく、下顎の動きの自由度が高くなっています。
ですから、まだ顎の位置も定まらない状態ですが、歯が生えることにより、下顎の自由度も制限され、噛み合わせの位置が定まってきます。そして、下顎の骨も徐々に成長し顎関節もしっかりしてきます。
成長の過程の子供は、顎関節もずれやすい環境にあります。その時期に、指しゃぶりなどの癖や歯の生える位置が悪い等があると、顎位が簡単にずれてしまいます。特に、乳歯から永久歯に生え変わる混合歯列期と呼ばれる時期に歯並びの管理をすることは、顎関節症の予防に非常に重要です。
子どもの顎関節症の予防法
子どもの顎関節症を防ぐには、成長の過程で噛み応えのあるものを食べるようにし、顎骨の成長を促すことが大切です。奥歯ばかりで噛むのではなく、前歯などで物を咬みちぎる動作も顎の筋肉をバランスよく使うためには必要です。
ただ、痛みが発症してしまってからは、「顎を酷使しない」「顎関節へ負担をかけない」ということが大切です。
以下のような点を注意するとともに子どもの行動を見守りましょう。
・日常のストレス緩和
・正しい姿勢の維持
・睡眠時の歯ぎしり予防
・正しい咀嚼
・歯を食いしばらないこと
・柔らかいものばかりを食べない
子どもの顎関節症の治療法
子どもの顎は成長段階ですので顎関節症の症状にかかっているようであれば、できるだけ早期に治療が必要です。痛みがある場合は、マウスピース(スプリント療法)等を使用し、痛みの緩和をはかります。
また、成長の過程にある子供の場合、口腔周辺の筋肉のトレーニングをしたり、舌癖を治すトレーニングをすることで顎骨の成長を正しく促すという療法もあります。
矯正治療では、取り外し式の矯正装置で、顎骨の成長を促し、狭い歯のアーチを拡げて、永久歯が正しく生えるようにします。顎や歯の成長の段階をみてワイヤー矯正での治療も必要な場合もあります。
子どもの顎関節症で要観察となる場合
子どもの顎関節症は必ず治療すべきというわけではありません。中には、治療を選択せずにそのまま様子を見るケースもあります。子どもの顎関節症で要観察となる場合とは、関節雑音(クリック音)だけしか症状が見られないときです。関節雑音だけの場合には出現と消退を繰り返すことが多いためです。
しかしながら、関節雑音が長く続くときや痛みを伴う場合には、早期に専門医に受診してどのような病状かを確認したほうが良いでしょう。
子どもの顎関節症治療は何科が良いのか
子どもの顎関節治療が受けられる病院には一般歯科、口腔外科、専門クリニックがあり、それぞれ診療項目が分かれています。一般歯科の領域は歯と歯肉の疾患、虫歯・歯周病の治療、インプラント、入れ歯治療、矯正治療などです。口腔外科の領域は口腔内の外科治療で、親知らずの抜歯、口内炎の治療などです。
顎関節症・噛み合わせの専門クリニックである新宿デンタルオフィスでは、子供の顎関節症の治療も行い、歯や顎周辺の治療はもとより全身症状に対応した治療をおこないます。
複雑な因子が引き起こす子どもの顎関節症であれば、豊富な実績を持つ専門クリニックでの治療が安心です。子どもの顎関節症は、歯並びの矯正が必要になった場合、成長に合わせて行う為、長期間かかりますので医院選びは大切です。
子どもの顎関節症治療なら新宿デンタルオフィスへ
成長期の子どもが「顎の痛み」「全身の不調」で長く苦しみ続けるのは、健やかな成長の阻害要因になります。できるだけ早めに症状を緩和してあげるべきでしょう。
顎関節症専門クリニック新宿デンタルオフィスは、子どもの顎関節症治療・噛み合わせ治療の実績があります。初めて受診される方に「初診カンセリング(予約制:1回3~4時間)」をおこなっています。
もしお子様に顎関節症の疑いがあるようなら、お気軽にご相談下さい。