インビザラインの治療期間の平均は?治療期間短縮のための8つのコツを紹介
インビザラインの治療を検討している方にとって気になるポイントに「治療期間」があります。仕事や家事などで忙しい方にとってはインビザライン治療をしたいけれど、検討材料としては期間次第という方もいらっしゃるでしょう。
そこでこの記事ではインビザラインの治療期間の平均、治療期間を短縮するためのコツについてご紹介します。歯科クリニックを受診するにあたって参考になさってください。
【パッケージ別】インビザライン矯正の治療期間の平均
インビザライン矯正には、歯並びの症例に合せたさまざまなパッケージがあり、治療期間の平均もそのパッケージによって異なります。
また、歯が動くスピードも人によっても異なるため、アライナー(マウスピース)の交換時期は、7~10日ごとが目安となっていますが、予定していた期間より長引くこともあります。それぞれパッケージごとに見ていきましょう。
インビザラインエクスプレスの場合
インビザラインエクスプレスの治療期間の目安は、3~4ヶ月程度です。
インビザラインエクスプレスは「最大7枚のアライナー」で歯並びが改善できる症例に適応しており、インビザラインで最も軽度の症例向けのパッケージです。
そのため、治せる歯並びは限られます。歯列矯正後の後戻り(ごく軽度)のような、ちょっとした歯並びのズレに適しています。
治療期間の目安 | アライナー枚数 | 適応症例 |
---|---|---|
3~4ヶ月 | 最大7枚 | ごく軽度 |
インビザラインライトの場合
インビザラインライトの治療期間の目安は、3~6ヶ月程度です。
インビザラインライトは、軽度な症例に適しており、使用できるアライナーの枚数はインビザラインエクスプレスの2倍で、1クール最大14枚(1年以内)です。
歯列矯正後の後戻りや、軽度の歯列不正など、少しガタガタが気になる歯並びに適しています。
治療期間の目安 | アライナー枚数 | 適応症例 |
---|---|---|
3~6ヶ月 | 1クール最大14枚 (1年以内に2クール可能) |
軽度 |
インビザラインモデレートの場合
インビザラインモデレートの治療期間の目安は、7カ月~1年半程度です。
インビザラインモデレートは、ライトとコンプリヘンシブのちょうど中間に位置しているパッケージです。
適応症例は、インビザラインライトよりも広く、軽度~中程度の症例に適応できます。
治療期間の目安 | アライナー枚数 | 適応症例 |
---|---|---|
7カ月~1年半 | 1クール最大26枚 (2年以内に3クール可能) |
軽度~中程度 |
インビザラインコンプリヘンシブの場合
インビザラインコンプリヘンシブの治療期間の目安は、1年半~3年程度です。
ほぼすべての症例に適応できて、保証期間3年と5年のプランがあり、その期間であれば、アライナーの枚数を気にすることなく、納得がいくまで治療を続けることが可能なパッケージです。
治療期間の目安 | アライナー枚数 | 適応症例 |
---|---|---|
1年半~3年 | ・保証期間5年: 枚数制限なし ・保証期間3年: 1クールあたりの枚数制限なし (3年以内に4クール可能) |
軽度~重度 |
インビザラインGoの場合
インビザラインGoの治療期間の目安は、5~10ヶ月程度です。
インビザラインGoは、前歯~第2小臼歯(手前から5番目の歯)までが対象範囲の、軽度の症例向けのパッケージです。
治療期間が短くすんだり、スマホアプリを利用した簡易診断ができたりなどの手軽さはありますが、歯列全体を動かせないため、適応できる症例は限られます。
治療期間の目安 | アライナー枚数 | 適応症例 |
---|---|---|
5~10カ月 | 1クール最大20枚 (2年以内に2クール可能) |
軽度 |
インビザラインファーストの場合
インビザラインファーストの治療期間の目安は、6ヶ月~1年半程度です。
こちらは他のパッケージと異なり、6~10歳前後の「乳歯」と「永久歯」が入り混じった混合歯列期のお子さん向けのパッケージです。
広範囲の不正咬合の治療に適応しており、お子さんのお口の発育に合わせて歯列を拡大したり、不正咬合を治療したりなどを同時に行うことが可能です。
アライナーの枚数は、保証期間の1年半以内であれば制限はありません。
治療期間の目安 | アライナー枚数 | 適応症例 |
---|---|---|
6カ月~1年半 | 枚数制限なし | 広範囲の不正咬合 |
インビザライン矯正で治療期間が長引くことはある?
ここでご紹介したインビザライン矯正の治療期間は、あくまで目安です。
この治療期間の目安通りに治療が進むこともあれば、想定していたよりも治療期間が延びてしまう可能性もあります。
それでは、インビザライン矯正で治療期間が長くなりやすい症例や、考えられる主な原因について、確認していきましょう。
治療期間が長くなりやすい症例
治療期間が長くなりやすい症例は、以下のふたつの症例です。
重度の叢生(ガタガタの歯並び)
重度の叢生とは、歯並びのガタガタが大きい症例のことで、治療期間が長くなりやすい傾向にあります。
というのも、重度の叢生は、歯が本来あるべき位置から大きくズレて生えてしまっていることが多いため、元の正しい位置に歯を戻すためには、時間がかかってしまうためです。
たとえば、「顎の大きさに対して歯が大き過ぎる症例」や、「歯の大きさに対して顎が小さ過ぎる症例」など、顎と歯のアンバランスがあると、重度の叢生になりやすい傾向にあります。
抜歯を伴う症例
抜歯を伴う症例では、治療期間が長くなる傾向にあります。これは、歯を抜いてできたスペースを埋めるために、歯を大きく動かしていかないといけないためです。
「重度の叢生」や、「出っ歯」、「受け口」「口ゴボ(口元がボコッと出ている歯並び)」などは、抜歯が必要となりやすい症例の一例です。
たとえば、「出っ歯」なら前方に突出している上の前歯を大きく引っ込める必要がありますし、「口ゴボ」も、突出した口元を下げるために、歯列を後ろへ大きく引っ込める必要があります。
このような歯を大きく動かす必要のある症例では、「抜歯矯正」が必要となる可能性が高く、歯を動かす距離が大きくなる分、治療期間が延びてしまいやすいのです。
インビザラインの治療期間が長引く主な原因
インビザラインの治療期間が長引く原因は、歯並びによるものだけではありません。
その主な原因は、ご自身の矯正治療への取り組み方によっても変わってくるため、以下の原因についてもしっかり把握しておきましょう。
治療計画を修正した
治療開始後、治療計画通りに歯が動かなかった場合は治療計画を修正します。その場合、治療期間が長引いてしまいます。
なぜなら、治療計画を修正するということは、再度3Dシミュレーションで治療計画を立てて、新しいアライナーをつくり直すことでもあり、その分治療期間がかかってしまうためです。
新しい治療計画を立てる時間が必要になることはもちろん、新しいアライナー作製の時間もかかってしまいます。
治療途中にむし歯・歯周病の治療が必要になった
治療途中にむし歯・歯周病の治療が必要になってしまうと、矯正治療を中断して歯科治療を優先しなければならず、治療期間が長引く原因になってしまいます。
これは、むし歯・歯周病の治療に期間がかかることはもちろん、歯科治療の内容によっては治療後の歯の形が変わって元のアライナーが合わなくなり、新しいアライナーを作製しなければならない可能性もあるからです。
ただし、むし歯でも「初期むし歯」であれば、歯科治療を優先せず、経過を観察しながらインビザライン矯正を進められるケースもあります。
アライナーの装着時間が不足している
アライナーの装着時間が不足していると、シミュレーション通りに歯が動かず、治療期間が長引く可能性があります。
これは、インビザライン矯正では、1日20~22時間以上のアライナー装着が推奨されており、この時間を守れていないと、想定通りに歯が動かないためです。
たとえば、「歯磨きをしたあとに、再度着けるのを忘れていた」「1日ぐらい外していても大丈夫だろうと思ってアライナーを外していた」など、たった1日だけでもアライナーの着け忘れがあると、治療期間が長引く可能性が高まります。
もし、シミュレーション通りに歯が動いていなければ、アライナーの装着期間を延ばしたり、最悪の場合、再度治療計画の立て直しが必要となったりするケースもあります。
アライナーを紛失・破損した
アライナーを紛失・破損した場合も、治療期間が長引く原因になります。というのも、もし、アライナーが紛失・破損した場合は、新しいアライナーを新製しなければならないからです。
ただし、ちょうど交換のタイミングの時期に紛失・破損したのであれば、次の段階のアライナーにそのまま進み、新しいアライナーを作らなくて済むケースもあります。
インビザラインの治療期間を短くするための8つのコツ
インビザライン矯正にかかる治療期間は、歯並びの状態にもよりますが、ご自身の自己管理が徹底できるかどうかも、重要なポイントです。
以下の8つのコツを取り入れて、インビザライン矯正をスムーズに進められるように対策をしておきましょう。
①アライナーの装着時間を守る
インビザライン矯正の治療期間を短くするためには、アライナーの装着時間を守ることが非常に重要です。
なぜなら、インビザラインの3Dシミュレーションは、1日20~22時間以上装着するのを想定した上でつくられたもので、この装着時間を守れていないと、治療計画通りに歯が動かない可能性が高いためです。
そのため、決められた装着時間を守ることはもちろん、「食事」と「歯磨き」のとき以外は、ずっとアライナーを装着するぐらいのイメージで、装着時間の管理を徹底しておきましょう。
②アライナー交換のタイミングを守る
アライナーの交換のタイミングを守ることも、インビザライン矯正の治療期間を短くするために重要です。
基本的には、1つのアライナーは7~10日ごとに交換しますが、歯並びの状態や、歯の動きなどによって、交換時期が長引く可能性もあります。
早く治療を終えたいからといって交換のタイミングを勝手に早めたり、決められたアライナー交換日をしっかり守っていなかったりすると、枚数を重ねるたびに少しずつ治療計画とのズレが生じてしまう可能性があります。
そのため、必ず決められたルールは守るようにしましょう。
③お口のセルフケアを丁寧に行う
インビザライン矯正中に、むし歯や歯周病にならないように、お口のセルフケアを丁寧に行うことも、治療期間を短くするために重要です。
歯ブラシだけのセルフケアではなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどのセルフケアも併用して、常に口内を清潔に保ちましょう。
とくに、口内に磨き残しが多かったり、食後歯磨きをせずにアライナーを装着してしまったりすると、むし歯・歯周病になりやすい状態をアライナーで蓋をする状態になってしまいます。
そのため、食後はもちろん、常に口内をきれいな状態を保てるよう、普段よりさらに念入りにセルフケアを行うようにしましょう。
④アライナーを常に清潔な状態にしておく
歯の表面だけではなく、アライナー自体も常に清潔な状態にしておくことも大切です。
どんなに歯磨きをきれいにしていても、アライナーが汚れていたのでは意味がありません。アライナーを装着して食事をすることはないものの、常に口内にあるため、歯石や歯垢などの汚れがついてしまうこともあるのです。
アライナーは、専用の洗浄剤を活用してきれいに保つように心がけ、「むし歯・歯周病」のリスクを少しでも軽減させておきましょう。
⑤アライナーを紛失しないように管理を徹底する
インビザラインの治療期間を短くするためには、アライナーを紛失しないように管理を徹底することも大切です。
アライナー紛失のタイミングとしては、外食時に外したまま飲食店に置いて帰ってしまったり、出先でアライナーを外して一時的にテッシュに包んで間違って捨ててしまったり、などが想定できます。
そのため、アライナーを食事や歯磨き中に外すときは、必ず決まったケースに入れるようにして、失くさないように気をつけましょう。
⑥定期的な通院スケジュールを守る
定期的な通院スケジュールを守ることも、インビザライン矯正の治療期間を短くするために大切です。
「痛みやトラブルがなければ、通院しなくても良いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、定期的な通院時には、歯がシミュレーション通りに動いているかしっかり確認しています。
ご自身ではなかなか歯の動きの遅れに気づきにくいですが、担当矯正医であれば治療の遅れも早期に発見できるので、治療計画が大きくズレてしまう前に対策ができます。
そのため、インビザライン矯正をスムーズに進めるためにも、痛みや気になることがなくても、定期的な通院のスケジュールはしっかり守るようにしましょう。
⑦チューイを活用する
インビザラインの治療期間を短くするためには、チューイを活用することもコツのひとつです。
チューイとは、弾力のあるロール状のチューブのことですが、このチューイを噛むと、歯とアライナーがしっかりはまります。
じつは、サッと簡単に手でアライナーをはめただけでは、アライナーが歯から浮いてしっかりはまっていないといったケースもあり、適切な矯正力が歯にかからなくなることもあるのです。
そうなると、想定通りに歯が動かないケースもあるため、アライナーをはめるときは「チューイ」をしっかり活用しましょう。
⑧禁煙する
禁煙することも、インビザラインの治療期間を短くするためのコツのひとつです。喫煙は歯の動きを遅くするリスクがあるからです。
歯列矯正では、歯周組織の破壊・再生が起こることで歯が動きます。しかしながら、血管収縮作用のある「ニコチン」によって血流量が減少すると、歯周組織の再生が制限されてしまい、歯の移動を妨げてしまうからです。
とはいえ、いきなり禁煙することは難しい方もいらっしゃるかと思うので、まずは少しずつでもタバコの本数を減らすことをおすすめいたします。
まとめ
インビザライン治療は一定の期間がかかりますが、管理やスケジュールを守るなどによって短縮できるケースもあります。
施術前に期間が気になるならば、クリニックでカウンセリングを受けることで具体的な治療期間がわかるとともに、ご自身の歯や顎の状態も把握することができます。
新宿デンタルオフィスは、インビザライン矯正や噛み合わせ治療に強みを持つ歯科クリニックです。インビザライン治療と合わせて、顎のズレ・歪みの状態についても改善することができます。
初診カウンセリングを実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。