インビザラインの部分矯正とは?メリット・デメリット・費用を徹底解説
着脱式のマウスピース矯正として、近年最も人気のあるインビザライン。
前歯の歯並びが気になっていて、インビザラインで部分矯正が可能なのか疑問に思っている方も多いでしょう。
そこで本記事では、インビザラインで部分矯正できるケースと、メリット・デメリットを解説します。
そして矯正治療にかかる費用や期間についても詳しく紹介しますので、「インビザラインで部分矯正する場合、いくらかかる?」という方も、ぜひ参考にしてください。
インビザラインで部分矯正はできる?
インビザラインで部分矯正はできます。ただし、すべての歯並びに部分矯正が対応できるわけではありません。
部分矯正は抜歯を伴わない矯正や、軽度の不正咬合のケースに限られることが多いです。矯正後の仕上がりイメージを歯科医師と共有し、納得してから治療を進めることが大切です。
ご自身の歯並びが部分矯正で対応できるかは、歯科医院に相談しましょう。
インビザラインの部分矯正の種類
インビザラインにはいくつか種類があります。部分矯正と全顎矯正を比較しやすいように、以下で表にまとめました。
インビザラインの種類 | 適応 | 枚数 | 治療期間 |
---|---|---|---|
インビザライン コンプリヘンシブ | 全顎の不正咬合、 不正歯列 |
制限なし | 1年半~3年 |
インビザライン ライト | 軽度の不正歯列 | 最大14枚 | 3~6か月 |
インビザライン GO | 前歯部の不正歯列 | 最大20枚 | 5~10か月 |
インビザラインを使った部分矯正は、2種類あります。それぞれの種類の特徴を詳しく見ていきましょう。
インビザライン・ライト
インビザライン・ライトは、軽度の叢生(ガタガタの歯並び)・出っ歯・すきっ歯などのケースに利用されるプランです。
前歯・奥歯のすべての歯の移動が可能ですが、マウスピースは最大14枚に限定されており、奥歯を大きく動かす矯正には向いていません。
そのため症例が限られていることや、途中での治療計画の変更が難しいというデメリットがあります。
インビザライン・GO
インビザライン・GOは、笑った時に見える歯の移動が可能な部分矯正です。
治療範囲は大臼歯(奥歯2本)を除く、小臼歯(前から4・5番目の歯)までに限定されています。
「奥歯の噛み合わせに問題がなく、前歯の歯並びだけ治したい」という方に向いています。
インビザラインで部分矯正できる症例
インビザラインで部分矯正できる症例は、以下の4つです。
- すきっ歯
- 軽度の出っ歯
- 軽度の叢生
- 矯正後の後戻り
それぞれの症例が正しく理解できるように、詳しく見ていきましょう。
すきっ歯
前歯と前歯とのあいだにすき間がある状態をすきっ歯と言います。
すきっ歯は、もともと歯を並べるためのスペースが備えられているため、インビザラインの部分矯正に適していることが多いです。
ただし歯並びだけの問題だけでなく、骨格的に問題があったり、重度の不正咬合を併発している場合は、外科手術や全体矯正が必要になることもあります。
軽度の出っ歯
出っ歯とは上の前歯が前方に突出した状態のことで、軽度の出っ歯もインビザラインの部分矯正に適しています。
出っ歯は、「先天的な顎の骨格」や「後天的な悪習癖(舌を押す癖など)」が原因で起こることがあります。
顎の骨格が原因で出っ歯になっている場合は部分矯正ではなく、抜歯矯正や外科矯正が適応されることも覚えておきましょう。
軽度の叢生
叢生とは、歯と歯が重なり合っている凸凹の歯並びのことを指します。軽度の叢生の場合は、インビザラインでの部分矯正が可能です。
凸凹の歯並びは、見た目が気になるだけでなく、「歯磨きがしにくい傾向にあるため、虫歯や歯周病になりやすくなる」という健康上のリスクも懸念されます。
軽度の場合はIPR(スペースを作るための歯の研磨処置)などの処置で部分矯正できますが、重度のケースでは抜歯が必要になることがあります。
矯正後の後戻り
矯正後の後戻りも、一般的にインビザラインでの部分矯正が可能です。
後戻りは、矯正後のリテーナー(歯並びを固定するための保定装置)を、歯科医師から指示された通りに使用しなかった場合に起こります。
矯正後の歯並びは歯が動きやすい傾向にあるため、短期間で理想の状態に戻すことができる可能性が高くなるでしょう。
ただし後戻りの状態によっては、インビザラインの部分矯正で対応できない場合もあるため、まずは歯科医師に相談することがおすすめです。
インビザラインで部分矯正をするメリット
インビザラインで部分矯正をするメリットは、以下の3つです。
- 矯正期間が短い
- 費用が抑えられる
- 痛みや違和感が少ない
それぞれのメリットが理解できるように、チェックしていきましょう。
矯正期間が短い
インビザラインの部分矯正は、対象となる歯の範囲が限られているため、治療期間が短いです。
治療を始める前にレントゲンや口腔内スキャンをして、歯の3Dデータを取得し、歯がどのように移動しどの位置になるかを診断します。
3D映像を使うことで、治療計画を確認でき、治療期間も明確になります。このように高精度に治療計画を立てることができるため、トラブルが起きにくく計画通りに治療を進めやすいです。
費用が抑えられる
インビザラインの部分矯正は、全顎矯正と比較すると費用を抑えられます。全顎矯正よりも部分矯正のマウスピース枚数が少ないからです。
インビザラインは、種類によって使用するマウスピースの枚数が決まっています。全顎矯正ではおよそ30~80枚ですが、部分矯正の場合だと14~20枚と少ないマウスピースを使用します。
このようなマウスピースの数の違いから、製作や管理コストが減らせるため、全顎矯正と比較すると費用を抑えられるのです。
痛みや違和感が少ない
インビザラインのようなマウスピース矯正はワイヤー矯正と比較すると、痛みや違和感が少ない傾向にあります。
インビザラインは歯を徐々に移動させるため、痛みが少ないのに対し、ワイヤー矯正は歯科医師が直接ワイヤーを調整し強い力を加えるため、痛みを感じることが多くなるのです。
そしてワイヤー矯正は装置が口唇や粘膜に当たって、違和感が出たり口内炎ができたりして痛むこともあります。
インビザラインの場合はプラスチックでできており、装置の尖っているところも少ないため、装置による痛みもあまり感じられないのが一般的です。
ただし、歯の移動や装置による痛みなどの感じ方には、個人差があることを覚えておきましょう。
インビザラインで部分矯正をするデメリット
ここからは、インビザラインで部分矯正をするデメリットを紹介します。
- 適応できる症例が限られている
- 噛み合わせは治療できない
- 歯を削ることがある
適応できる症例が限られている
部分矯正はその名の通り、特定の歯のみを矯正する方法です。気になる特定の歯のみや、軽度の症例を治療します。
例えば重度の歯並びの乱れのケースでは、大きく歯を動かす必要があるため、抜歯矯正が適応されることがあります。抜歯が必要になる矯正は、インビザラインの部分矯正には向いていません。
そして、骨格に問題がある歯並びの場合(上顎前突や下顎前突など)では外科治療が必要になり、全顎矯正を適応されるのが一般的です。
噛み合わせは治療できない
インビザラインの部分矯正は、主に前歯のみを治療するため、奥歯の噛み合わせに問題がある不正咬合の場合は適応できません。
歯列矯正の本来の目的は、歯並びと噛み合わせのバランスを整えることです。「矯正=見た目を良くする」と思われがちですが、全体的な噛み合わせを改善することが一番の目的です。
噛み合わせを改善すると、以下のようなQOL(生活の質)の向上が期待できます。
- 歯科疾患の予防
- 身体のバランスや運動能力の改善
- 発音の改善
【引用】:1.矯正歯科治療はなぜ必要?/日本臨床矯正歯科医会
逆に全顎矯正が適している歯並びを無理やり部分矯正で対応すると、噛み合わせのバランスがさらに崩れ、肩こりや頭痛の原因になることがあるため、注意が必要です。
歯を削ることがある
インビザラインの部分矯正では、歯が並ぶスペースを作るためにIPR(ディスキング)を行うことがあります。
IPRとは、専用の器具・機械を使用して歯を薄く削る、研磨処置のことです。ただし歯を削るとは言っても削る厚みは0.25~0.50mm程度で、とても微量です。
そのためIPRで歯がしみることはほとんどありませんが、歯のエナメル質が薄かったり、知覚過敏の傾向にある方は、IPR後に知覚過敏が増加することがあるでしょう。
インビザラインでの部分矯正でかかる費用
インビザラインでの部分矯正でかかる相場は、40~70万円程度です。歯列矯正は一般的に保険が適用されないため、歯科医院によって費用は変わります。
そしてインビザラインには種類があり、種類によっても以下のように費用相場が異なります。
- インビザライン ライト:50~70万円
- インビザライン GO:40~60万円
軽度の症例、つまり歯並びの乱れが軽度のケースほど、治療費は安くなります。
ご自身では「前歯の乱れだけが問題」と思っていても、実際には奥歯の不正咬合の問題が潜んでいることがあります。
正確な診断を受けて適切な治療が受けられるかを、歯科医師としっかり相談することが大切です。
インビザラインでの部分矯正に必要な期間
前歯のみのインビザラインの場合、3~10か月ほどで矯正治療が完了します。
1年半~3年ほどかかる全顎矯正に対し、部分矯正は前歯の歯並びだけを整える治療のため、短期間で終わる傾向にあります。
ただし、歯を動かす矯正期間に加えて、歯を保定する期間(少なくとも1年以上)も必要になることを覚えておきましょう。
まとめ
インビザラインの部分矯正は、軽度の歯並びの乱れに適応しています。
逆に以下のようなケースでは対応できないことがあります。
- 重度の歯並びの乱れ
- 噛み合わせに問題がある
- 骨格的に問題がある
ご自身では「気になるのは前歯だけ」と思っていても、実際には他の問題も備わっていることがあります。そして噛み合わせに問題があると、顎関節症や発音障害などのさまざまなリスクを及ぼすため、注意が必要です。
新宿デンタルオフィスはインビザライン、噛み合わせ治療を専門にしています。
カウンセリングを通じて患者様のお悩みや症状をお伺いして、オーダーメイドの治療プランをご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。