ガムの噛みすぎと顎関節症の関係とは?
口の中を「リフレッシュしたいとき」「眠気を覚ましたいとき」「口が寂しいとき」などに噛みたくなるのがガムです。ガムを噛むと口の中がスッキリして気分転換になりますし、口臭予防や虫歯予防の効能もあります。
しかしながら、ガムの噛み過ぎは顎の関節に良くありません。その理由の一つに顎や咀嚼筋群へ負担をかけることが挙げられます。顎に過度の負担をかけ続けると顎関節症の発症リスクが高まります。
この記事では、ガムの噛みすぎと顎関節症にはどのような関係があるのか解説します。
ガムの噛みすぎは大丈夫?
ひと昔前と比べてガムを噛む人が減っているという声が聞かれますが、それでも街中を眺めるとガムを噛んでいる人はよく目につきます。それだけガム愛好家と呼ばれるような人たちはたくさんいます。
日本チューインガム協会によると、平成28(2016)年に日本で製造されたガムの数は26,670トン、市場規模(小売金額ベース)は1,058億円にも上ります。これは同年のせんべいの市場規模の1.44倍にあたります。
様々なフレーバーが楽しめて、ストレス発散効果もあるガムですが、ガムの噛みすぎにより「顎関節」「口腔内」に異常が発生する事があります。
ガムを噛みすぎる悪影響とは
ガムの生産量は年々減りつつあります。それは昔のように子供が甘いガムを好んで噛まなくなったことが大きいと考えられます。その一方で大人の嗜好品として近年存在感を示しているのが、「シュガーレスガム」「キシリトールガム」「カルシウム配合の特定保健用食品ガム」などです。
これらの商品は「虫歯予防」「口臭予防」「ダイエット」「眠気予防」などの目的で購入する人が多いようです。また、野球やサッカーの試合中に選手がガムを噛んでいる姿をよく目にしますが、集中力を高めるためにガムを噛むという人もいます。
ガムを嚙む目的は様々ですが「噛みすぎ」や「不自然な噛み癖」により、以下のような問題が起きることがありますので、注意が必要です。
・顎関節への負担
・歯へのダメージ
・頭痛の発生
・顎周辺の筋肉痛
・噛みあわせの悪化
・顔の輪郭の変化
・顎関節症の発症
ガムを噛んでいるときの顎や歯はどんな状態?
普段何気なく取り出して噛み始めるガムですが、そのときに私たちの顎や歯や筋肉はどのような状態なのでしょうか?
人間の顎は耳の下に位置する顎関節内で頭蓋骨に下顎がぶら下がっている状態です。ものを咬む際、上顎は固定されていますから、ものを必然的に下顎を上下左右に動かします。このとき顎関節・咀嚼筋・靭帯が連動して動くことによってものを噛むことができるのです。
ガムを噛んでいるときには、これらの組織を休みなく働かせている状態になります。
食事の際にも咀嚼をおこないますが、食べるときには「ものを口に入れて噛んで嚥下(飲み込む)する」という一連の行動を繰り返しますので、顎を絶えず動かして噛んでいる訳ではありません。
しかしながら、ガムを噛むという行為は、休みなく顎を動かしていますので、顎や歯に負担をかけ続けている状態であることを理解しておく必要があります。
ガムを噛むときに注意すべきこと
ガムを噛むと甘味が口に広がり、香りやフレーバーが鼻の中に吸い込まれて気分転換になります。最近では、1粒で30分以上もの長時間甘味が持続するタイプのガムが人気ですが、そのようなガムを一度口の中に入れると無意識に絶え間なく噛み続けることになります。
実はガムを噛むときの注意点とは、このガムを噛む回数や時間にあります。また、不自然な噛み方も注意すべきポイントです。以下のような噛み方をしていたら要注意です。
・毎日長時間ガムを噛んでいる
・片側ばかりを使って噛んでいる
・早い速度で噛んでいる
・歯をぶつけ合うように強く噛んでいる
・口を開けたまま噛んでいる
・口や顎を大きく動かして噛んでいる
ガムを噛むことは唾液の分泌を促して口腔内を清潔に保てるので「虫歯予防」「口臭予防」に効果がありますが、一方で「顎や歯への負担」「咀嚼筋の筋痛(炎症)」などの症状が起こるため注意が必要です。
ガムを噛むことにより顎関節症になる?
長時間ガムを噛む、早い速度でガムを噛むというのは、顎や周辺の筋肉を絶え間なく動かしている状態です。いわば激しい筋トレを長時間にわたっておこなっているわけですので、必要以上に筋肉が使われてしまいます。
さらに「片側噛み」「カチカチと強く噛む」「顎を大きく動かして噛む」などのように、顎や歯や筋肉に負担をかけ続けると、「噛み合わせが悪くなる」「筋肉のバランスが悪くなる「顎がずれる」などの症状につながります。
このように顎関節に異常が生じるような条件が重なると顎関節症を発症する原因になります。
顎関節症とは
顎関節症とは、顎関節にあるクッションの役割を持つ「関節円板」という組織がずれることにより「痛みが発生する」「口が開きにくくなる」「顎から異音がする」などの症状が発生する病気です。顎関節症が悪化すると、顎の周辺組織だけの異常にとどまらず、筋肉・靭帯・骨格などを通して全身に不定愁訴が発症する怖い病気です。
頭痛、肩こり、めまい、耳鳴り、しびれ、腰痛などは顎関節症の代表的な症状です。
顎関節症の発症原因の多くが「噛みあわせの悪化」「顎の高さの変化」「顎のねじれ・ズレ」などを起因として周辺の筋肉・靭帯に異常が起きて症状が悪化していきます。
前述のようにガムの噛みすぎは、「噛みあわせの悪化」「顎のずれ」などの症状を招く要因となります。ガムが好きな方は顎関節症に注意しなくてはなりません。
ガムを噛んで顎が痛いと感じたら専門医へ相談
これまでご説明したようにガムの噛みすぎと顎関節症には密接な関係があることをお分かりいただけたと思います。ガムを長時間・強く噛むというのは顎関節症を発症するリスクが高い行為です。もし、そのような癖があるなら改善が必要です。
また、ガムを噛んでいて「顎が痛い」「顎から変な音がする」などの症状が見られたら、顎関節症の症状がすでに発症している可能性があります。その場合には、専門医に受診してどのような症状なのかをいち早く知る必要があります。
新宿デンタルオフィスは顎関節症の専門クリニックです。ご自身が「顎関節症なのか分からない」「顎関節症の疑いがある」という方に初診カウンセリングを実施しています。(予約制 1回3~4時間)専門医の診察をうけることで、効果的な予防や対策が可能になります。まずはお電話でお気軽にご予約ください。