インビザライン矯正は痛い?痛みを感じる8つの原因や対処法について解説します
「インビザライン矯正をしたいけれど、痛くないか心配…」「痛くなるって聞いたことがある…」といったように治療前に心配される方は多いようです。
インビザライン矯正は本当に痛いのでしょうか?痛いと感じるだけなのでしょうか?
この記事では、インビザライン矯正の痛みについて深く掘り下げますので、治療を検討されている方や治療中の方は参考になさってください。
インビザライン矯正で「寝れないほど痛い」といったことはある?
インビザライン矯正では、「寝れないほど痛い」といった声をSNS等のネット上で見かけることがあります。インビザライン治療を検討中の方にとって、実際のところどうなのかと、気になっている方も多いのではないでしょうか。
まずは、インビザライン矯正は痛みが強い治療法なのか、ワイヤー矯正と痛みの度合いを比べるとどうなのか、詳しく見ていきましょう。
歯は動いているため少なからず違和感程度の痛みはある
インビザライン矯正は「痛みが少ない」ことがメリットのひとつと言われています。痛みの感じ方には個人差はありますが、インビザライン矯正で寝れないほど痛いといったことはほとんどないでしょう。
しかしながら、アライナー(マウスピースの装置)を装着して歯を動かしている限りは、少なからず「違和感程度の痛み」を感じる可能性もあります。
というのも、歯を動かすためには、歯のまわりの骨を溶かして前に進む必要があるのですが、この骨を溶かすときに歯の周辺に炎症が起こり、痛みが生じる可能性があるからです。
また、歯が押されることで、歯と歯の根っこの間をつなぐ「歯根膜」という薄い膜状の組織も押しつぶされるので、血管の「血流障害」が生じて鈍い痛みを感じることもあります。
インビザラインは、1枚のアライナーで最大0.25㎜ほど歯を動かします。つまり、アライナーによって歯を少しでも動かす限りは、少なからずこれらの痛みが生じるリスクがあります。
ワイヤー矯正等の他の矯正治療に比べると痛みが少ない
インビザライン矯正は、ワイヤー矯正に比べると痛みが少ないといった特徴もあります。
これは、およそ1ヶ月に1度ワイヤー等により一気に矯正力をかける「ワイヤー矯正」に比べて、「インビザライン矯正」は1~2週間ごとにアライナーを交換しながら、少しずつ歯に圧力をかけられるためです。
1度に歯にかける圧力が少なければ、痛みが生じる原因となる「歯根膜の圧迫」や「歯槽骨を溶かす」といった働きも少なくなるため、結果的に痛みを軽減できます。
また、ワイヤー矯正では複雑な矯正装置が歯の表面についており、装置によって粘膜を傷つけて痛みが生じるリスクもあります。一方、インビザライン矯正に使用するアライナーは、薄くて非常に滑らかであるため、粘膜を傷つけることはほとんどないでしょう。
そういった意味でも、ワイヤー矯正に比べるとインビザライン矯正の方が痛みは少ないといえます。
インビザライン矯正で痛いと感じる8つのシーンと原因
インビザライン矯正は、痛みが少ないといった特徴がありますが、少なからず痛みが生じるリスクはあります。また、歯を動かすとき以外にも、痛みが生じる可能性もあるため、事前にしっかり確認しておきましょう。
ここでは、実際にインビザライン矯正で痛いと感じる可能性のある8つのシーンと、その原因について紹介していきます。
①初回アライナー装着時|はじめて歯が動きはじめるから
インビザライン矯正で初回のアライナーを装着するときは、はじめて歯が動きはじめるため、痛みを感じやすくなる可能性があります。
これは、治療をはじめると1日20時間以上の長時間、今までなかったアライナーによる圧力が歯にかかるわけですから、慣れないということも相まって、違和感や痛みを感じやすくなることがあるためです。
とはいえ、インビザライン矯正の場合、1枚のアライナーで少しずつ歯を動かすように、細かく設定されています。そのため、「激痛」とまではいかないことがほとんどでしょう。
②新しいアライナー交換時|再度歯を動かすから
1~2週間程度使用したアライナーから、次の新しいアライナーに交換してから2~3日ほどは、再度歯を動かすため痛みが生じやすい可能性があります。
なぜなら、インビザラインのアライナーは段階を重ねるごとに理想の歯ならびに近い形状になっており、新しいアライナーに交換したばかりのときは、現状の歯並びとのズレが大きく、最も矯正力がかかるときでもあるからです。
ただし、歯が少しずつ動いていきアライナーと歯並びとのズレが少なくなると、アライナー交換後2~3日程度で痛みのピークを迎えて、そのあとは徐々に痛みが少なくなることが多いです。
③久しぶりにアライナーを装着したとき|後戻りをしている可能性があるから
久しぶりにアライナーを装着したときも、痛みを感じる可能性があります。この原因としては、アライナーをしばらく外していると、歯が元の位置に戻ろうとする「後戻り」を引き起こしてしまう可能性があるからです。
後戻りが生じて、アライナーと現状の歯ならびに大きなズレができると、装着時に歯に圧力がかかり過ぎて、痛みを生じるリスクがあります。
また、数ヶ月にわたってアライナーを外していたような場合では、そもそもアライナーを装着しても浮いてしまって、ぴったり合わないこともあります。そうなると、再度治療計画の立て直しが必要となるケースもあり、治療期間が大幅に長引いてしまうリスクもあります。
④食事中に噛んだとき|歯のまわりの組織が過敏になっているから
インビザライン矯正中は、歯のまわりの組織が敏感になっているため、食事中噛んだときに痛みを生じる可能性があります。
これは、新しいアライナーを装着して2~3日ぐらいまでの間は、歯の根っこまわりの「歯根膜」という組織が敏感になっており、噛むことが刺激となって痛みを感じることがあるからです。
とくに、噛み応えのあるかたいお肉や、おせんべいなどは、噛んだときに歯に圧力がかかりやすいため、注意が必要です。
⑤変形したアライナーを装着したとき|口内の粘膜を傷つけるから
インビザラインのアライナーは薄くて滑らかなため、通常であれば口内の粘膜を傷つけることはありませんが、アライナーの変形等があれば、粘膜を傷つけて痛みが生じてしまう可能性があります。
アライナーが変形する原因としては、アライナーを噛んで装着したり、アライナーを外すときに無理な力がかかったりすることなどが挙げられます。
また、まれにインビザライン社から送られてきたアライナーの研磨が不十分で、アライナーの縁が口内の粘膜を傷つける可能性もあります。
⑥アタッチメントが粘膜にあたったとき|尖ったアタッチメントがあると粘膜を傷つけるから
アライナーを外して食事をしているときに、尖った「アタッチメント(歯の表面につける突起物)」が粘膜に擦れて、痛みが生じる可能性もあります。
食事や歯磨きのとき以外は、基本的にアライナーを装着しているため問題はないのですが、食事中はアライナーを外しているため、アタッチメントが尖っていると、噛む度に粘膜に擦れてしまって痛みが生じる可能性があります。
⑦IPRを行ったとき|人によってはしみると感じることがあるから
歯列にスペースをつくり出すためにIPRを行ったときも、人によっては歯がしみて、痛みを感じることがあります。
IPRとは、歯をきれいに並べるスペースをつくり出すために、歯と歯の間を一層削る処置のことですが、この処置は削っても問題がないエナメル質の範囲内で行うため、基本的にはしみたり痛んだりといったことはありません。
しかしながら、歯を削るという処置の刺激によって、人によっては一時的に神経が過敏になりやすく、知覚過敏のような痛みが生じることもあります。
⑧顎間ゴムを装着したとき|ゴムの引っ張る力で歯が動くから
顎間ゴムという輪ゴム状の矯正器具を装着したときにも、痛みを生じる可能性があります。
顎間ゴムとは、上下の歯にゴムを引っかけて、歯の噛み合わせや顎の位置関係を、ゴムが伸縮する力を活用して整えていくものです。使用するゴムの太さや大きさ、ゴムをかける位置などは、歯並びの状態によって異なります。
この顎間ゴムでは、インビザラインのアライナー同様に歯を動かすことができます。そのため、歯が動きはじめて2~3日の間は痛みを感じることがあります。ただし、時間の経過とともに次第に痛みも少なくなることがほとんどです。
インビザライン矯正で痛みが出たときの対処法はある?
では、もしインビザライン矯正中に痛みが出てしまったら、どのように対処すれば良いのでしょうか?
インビザライン矯正で痛みが出たときにご自身で対処できることもありますが、もし痛みが長く続いたり、アライナーの変形があったりするような場合は、早めに担当矯正医に相談するようにしましょう。
食事はやわらかい食べ物を食べる
インビザライン矯正中、痛みがあるときに噛み応えのあるものを食べてしまうと、痛みが生じやすくなるため、極力やわらかいものを食べるようにしておきましょう。
これは、かたいものを噛むと歯根膜に強い刺激が伝わるためで、痛みが落ち着くまでは、食材をやわらかく煮込んだものや、小さく切ったもの、うどんや豆腐などのやわらかい食材を用いた食事などがおすすめです。
とくに、インビザラインのアライナーをはじめて装着したり、新しいアライナーに交換したばかりだったりする場合は痛みが生じやすいため、痛みがある方はやわらかい食事による対処法をうまく活用しましょう。
痛み止めを処方してもらう or 市販の痛み止めを飲む
インビザライン矯正では正しくアライナーを装着していれば、我慢できないほどの強い痛みが出るようなことはあまりないですが、もし痛みが強ければ痛み止めを服用して様子をみましょう。
この痛み止めは、担当矯正医に処方してもらうか、市販の痛み止めを服用します。
ただし、市販のロキソニン等のイブプロフェン系鎮痛薬は、繰り返し服用することで、歯の移動をやや遅らせてしまう可能性があります。そのため、市販の鎮痛剤を使用する場合は、事前に矯正医へ確認しておきましょう。
アライナーの変形があればすぐに歯科医院へ連絡する
アライナーが変形していると、変形部分が口内を傷つけて痛みの原因になることもあるため、もしアライナーの変形があれば、すぐに歯科医院へ連絡しましょう。
また、アライナーが変形してしまうと、浮いてしまってきれいにアライナーを装着できないこともあります。
そうなると、歯に正しく矯正力がかからず、歯の動きと治療計画にズレが生じてしまう可能性もあるため、そういった意味でもアライナーに違和感があれば早めに歯科医院へ連絡しておきましょう。
痛みが長く続いたら早めに担当矯正医に相談する
歯が動くことによる痛みであれば、2~3日もすると少しずつ痛みは軽減しますが、そのまま放置しても改善しないケースもあります。
そのため、痛みが長く続くようであれば、早めに担当矯正医に相談しましょう。担当矯正医に相談すれば、原因を早急に突き止めて適切な対処をしてもらえます。
まとめ
インビザライン矯正は、他の矯正治療に比べて、さほど痛みがないマウスピース矯正ですが、個人によっては多少痛みや違和感を感じるケースがあることがわかりました。
もしも治療前に痛みについて不安を感じるようなら、専門医のカウンセリングを受けてみると良いでしょう。新宿デンタルオフィスはインビザライン矯正を得意とする歯科クリニックです。
顎関節症や噛み合わせ治療も専門ですので、インビザライン治療と合わせて、顎のズレ・歪みの状態についても確認することができます。初診カウンセリングも実施していますので、ぜひお気軽にご相談ください。