顎関節症は、なぜヒドイ肩こりになるのか?
肩こりは成人の約半数近くが自覚症状を持つと言われる国民病と言われるものです。そのため「肩がこって痛い…」「肩がパンパンに張る…」など、肩こりのツライ症状を訴える人は少なくありません。
実はその肩こりの原因が「顎関節症の症状だった」「噛み合わせの悪化」により起きていたという可能性があります。
この記事では、顎関節症と肩こりの関係と改善・治療方法について解説します。
肩こりとは?
肩こりは日本人の約5割の人がその症状を自覚していると言われています。特に女性の割合が多いと言われており、10年以上もの長期間に渡って苦しんでいる人も少なくありません。その症状は、単に「肩がこる」「肩が張る」「圧迫を感じる」というだけでなく「ズキズキと痛む」などの重症になることもあります。
よくある肩こりの原因として「長時間同じ姿勢でのデスク作業」「目の酷使」「運動不足」「寒さによる筋肉の緊張」などがあります。肩こりは、このような肉体的・精神的なストレスと筋肉への負担によって「筋肉に乳酸がたまる」「筋肉の硬直」「自律神経の乱れ」「過緊張」「血流悪化」という症状から引き起こされます。
また、重い肩こりになる原因は、硬直した僧帽筋(そうぼうきん)という肩の筋肉が血管や末梢神経(まっしょうしんけい)を圧迫するからです。「末梢神経」は痛みを脳に伝える役割を持ちますが、この神経が圧迫されると、痛みの信号を発し続けるために、辛い痛みや不調を自覚するようになります。
さらに僧帽筋の中には無数の血管が通っていますが、血管が圧迫されると栄養素や酸素が正常に供給できなくなり筋肉の運動能力の衰えや回復力の低下を招きます。これらの筋肉の機能低下、血行不良などが肩こりの要因です。
顎関節症は肩こりを引き起こす
それでは、顎関節症になるとなぜヒドイ肩こりになるのでしょうか?
顎関節症とは、顎関節という顎の関節、靭帯、筋肉が異常を起こすことにより発症する病気です。「顎の痛み」「顎からが異音する」「口を大きく開けられない」という3つの症状がよく知られていますが、顎を起点にして全身に深刻な不定愁訴が現れることがある病気です。
顎関節症になると、噛み合わせの悪化や下顎の歪みにより顔面骨格のズレや歪みが生じます。それによって顎関節を支える周辺の筋肉である咀嚼筋(そしゃくきん)が収縮して緊張状態になります。すると咀嚼筋とつながっている僧帽筋にも影響を及ぼして同じく緊張状態になるわけです。
このように僧帽筋が血管や末梢神経を圧迫するために「炎症」「血行不良」「筋痛」などのヒドイ肩こりを引き起こすのです。
顎関節症と肩こりと生活習慣
顎関節症は日常の生活習慣が原因で発症することがある病気ですが、特に以下のような悪い習慣があると、顎関節症とともにヒドイ肩こりを伴うことがあります。
・偏咀嚼(片側噛み)
・歯ぎしり
・食いしばり
・噛みしめ
・猫背
・噛み合わせ不良
このような生活習慣はいずれも顎の筋肉(咀嚼筋)に負担をかけるものです。咀嚼筋の緊張は僧帽筋にも影響を与えるため肩こりとなって現れます。
顎関節症の全身症状による肩こりの悪化
顎関節症が進行するとその症状は全身に波及することがあります。そして肩こりもさらに悪化する可能性があります。
顎関節症により、下顎が歪むと頭部の重心位置が変位します。すると、頭部を支える頚椎(首)が歪み、脊椎(腰)、仙骨(骨盤)など、連動する全身骨格が歪みます。人間の身体はその歪みを正しい位置に戻そうとするために、筋肉同士が引っ張り合いを起こします。
それによって、全身の筋肉が緊張します。当然ながら僧帽筋も周辺の筋肉から強い影響を受けるため緊張状態となってヒドイ肩こりが起こるのです。
もしも顎の不調や肩こりという顎関節症の初期症状を自覚したら、できるだけ早期に改善しないと、肩こりだけでなく全身に辛い症状が引き起こされます。
顎関節症による肩こりを改善させる方法とは?
顎関節症による肩こりを改善させるには、「マッサージ」「ストレッチ」「温湿布」などにより、肩のこりをほぐす、血行を良くするなどの方法があります。
硬直した筋肉をほぐしてリラックスさせることで、一時的に「こり」や「痛み」が和らぎます。しかし、あくまでこのような改善方法は対処療法であって永続的に効果が続かないということを理解しておく必要があります。
また、就寝時にナイトガードを装着することで歯ぎしりの負担が軽減されます。歯ぎしりや噛みしめの力をコントロールすることで咀嚼筋へのダメージが少なくなります。咀嚼筋から僧帽筋への影響が少なくなれば頭痛・肩こりなどの症状の改善が期待できます。
但し、自分の顎の歪みの状態に合うナイトガードを装着しないと「痛み」「睡眠障害」「ストレス増幅」という逆効果になることもありますので注意が必要です。
※新宿デンタルオフィスでは、オリジナルの咬合器により、一人ひとりの患者様に合う特製ナイトガードを作成してご提供しています。
さらに以下のような生活習慣を見直すことで顎関節症と肩こりは改善することもあります。
・歯ぎしりをしない
・噛みしめ、食いしばりをしない
・姿勢を良くする
・長時間同じ姿勢を取らない
・適度な運動をする
・ストレスをためない
顎関節症による肩こりは専門医へ相談を
肩の“こり”や“張り”は、それだけでも十分つらい症状ですが、顎関節症になると肩こりはさらに重い症状になることがあります。痛みが断続的に続いて「ズキズキする」「針で刺すような痛みがする」ということもあります。
また肩こりとともに、全身に様々な不調が出てくるため、大きなストレスを抱えたままの日常生活を余儀なくされます。もしも、肩こりと顎の不調を感じたら、それは顎関節症の初期症状かもしれません。症状が悪化しないうちにできるだけ早めに専門医に診てもらうのが適切な対応方法です。
新宿デンタルオフィスは、顎関節症の専門クリニックです。噛み合わせ矯正治療、顎位矯正治療などにより、顎関節症による顎の不調や痛み、全身症状など根本的な改善を目指します。
また、当院では予約制の初診カウンセリングをおこなっています。1回3~4時間かけて、専門医がしっかり診察します。ご自身の症状が知りたい、痛みや悩みについてアドバイスが欲しいという方には最適です。お悩みの方はどうぞお気軽にご相談下さい。