親不知と顎関節症の関係性
現代人の多くは、親不知が生える顎のスペースがありません。そのため親不知が生えてくると「隣の歯を押して倒す」「歯と歯の間が虫歯になりやすい」、というトラブルの発生が多く、抜歯が必要になることがあります。
それだけでなく、この親不知は顎関節症と深い関係があります。今回は親不知と顎関節症の関係についてご紹介します。
親不知から顎関節症を発生するパターン
親不知は私たちが18歳~20歳の頃に生える、顎の一番奥の永久歯です。現代に生きる私たちは食生活の影響もあって、顎が小さくなっています。そのため親不知が生えても顎にスペースが足りず、歯が横や斜めに生えてしまうのです。
小さくなった顎に親不知が無理やり生えてくることで、顎の骨全体に負担がかかります。また、親不知が生えてしまったことで噛み合わせが歪み、片側の歯でだけ物を食べる癖がついて顎関節症になることもあります。
親不知は抜いた方が良い?
親不知とは、永久歯が生えそろった後に奥歯のさらに奥に生えてくる上下4本の歯のことを言います。親不知は、抜いたほうが良いという意見と、抜かない方がよいという意見がありますが、実際はどうなのでしょうか?
■抜歯した方が良いケース
・親知らずがはえるスペースがなく、他の歯を圧迫して噛み合わせを悪くしている。
・磨きづらいため虫歯や歯周病になっているになっている。
■抜歯しなくても良い・しない方が良いケース
・親不知が顎の大きさに合っている。
・まっすぐ生えて奥歯として機能している。
・噛み合わせを邪魔していない。
このように、同じ親知らずでも生え具合によっては抜歯した方が良いものとそうでないものがあります。ご自身だけの判断は難しいと思いますので、気になる場合には歯科医に相談してみましょう。
親不知を抜歯するときの注意点
さて、顎関節症を引き起こさないためにも、親知らずを抜歯する際には以下の注意点に気を付けてください。
1.抜歯するかどうかは医師と相談
「顎関節症になったから親知らずを抜く」とご自身での判断は危険です。まずは、かかりつけの歯科医に相談してどのようにするのが良いのか決めましょう。生え方や他の歯との関係性によっては、必ずしも抜くことがベストではない場合があります。また、噛み合わせや顎の動きを邪魔しているような場合は、きちんと把握した上で対処することが必要です。
2.抜歯後は口内を清潔に
親知らずを抜歯した後に顎関節症にならないためには、炎症を悪化させないようにすることが重要です。そのためにも、抜歯した箇所を清潔に保つように気を付けてください。また、抜歯1週間後までは歯磨きや口を強くゆすぐことは避け、傷口を刺激しないようにしましょう。
3.抜歯後の食事には注意
抜歯後は歯茎に刺激を与えないように、固い食べ物や辛いものを避け、おかゆやスープなど柔らかいものを食べるようにしてください。また、アルコールは傷口の出血を促してしまうので特に抜歯直後は控えるようにしましょう。
親不知抜歯後に顎関節症になるパターン
親不知の抜歯後に顎関節症が悪化、ないし発症したという報告も出ています。それは、親不知が噛み合わせに大きく影響している為です。特に、夜間の無意識の噛みしめや歯ぎしりは、まだ生えきっていないとしても影響を与えているようです。
そこで、親不知の抜歯後の注意点があります。
1つ目は、睡眠中の噛み合わせの環境を抜歯後なるべく変えないようにすることです。
抜歯前からナイトガード等のマウスピースを使用し、抜歯後も使用することで、顎にかかる負担を軽減できます。
親不知を抜くべきタイミング
親不知は顎関節症の原因の一つではありますが、親不知の生えている人の全員が顎関節症になるとは限りません。親不知とは全く別の原因で顎関節症が発症していることも、もちろんあります。
顎関節症の治療として、親不知を抜いたほうが良いかは、専門医に相談しましょう。